手ぬぐい の色々なはなし


手ぬぐい の 歴史 のはなし


手ぬぐい の 歴史 はかなり古く、奈良時代 の文献にも出てくるそうです。元々は神事の儀礼飾具として、身体や器具を清めるために使われていたそうです。平安時代には庶民は麻、貴族は絹を使うことが定められておりました。(当時木綿は主に中国大陸からの輸入がほとんどで絹より高価な物でした。)江戸時代に入り、日本各地で綿の栽培が盛んになると、庶民の手にも届くものになり、都市近郊では銭湯なども盛んになった事や前掛けに使用するなど、日常的に使用することが多くなり、生活必需品 となりました。江戸中期には歌舞伎の発展とともに役者が デザイン した柄が流行したり 手拭合わせ という デザイン を競う 品評会 が開かれたり、 お年玉 や 時節 、 節句 の 縁起物 としての 贈答 や 餞別 、 心付け から 大入り などの 祝儀 や 不祝儀 にも配られるなど実用性だけでなく、自身の気風や主義主張を絵文字の洒落で表したり、名前や屋号を入れて名刺がわりに配って広告代わりに使うなど お洒落 な 小物 として庶民文化に浸透されました。明治時代に入ると 注染 という 染め方 が生まれ、複雑な図柄を表すことができる様になりましたが、文明開花の波に タオル や ハンカチ といった物の流入があり、日本古来の 手ぬぐい は一時衰退傾向にありました。しかし昭和初期には、何処の家庭にも 手ぬぐい が見られるほど一般的になっていき、現在ではその利用方法の広さやエコの観点、また綺麗な デザイン から更に見直され、 手ぬぐい のユーザーが増加傾向にあります。

形状 : サイズ



湯手 :幅は8寸、長さは5尺程度の 風呂用 の 手拭 い。

三尺手拭 :約113.6cmの長さのもので、剣道などの頭に被る 手拭 として使用されることが多い。また 三尺帯 はこの 三尺手拭 が原型ではないかともいわれている。

長尺手拭 :おもに、日本舞踊で使われる 小道具 としての 手拭 。

半手拭 :歌舞伎 で使われる演出の上での見栄えから特別に短くした 手拭 で3尺未満のものをいう。

長手拭 :長さ4尺程の 手拭 で「ながなた」ともいわれる 手拭 。 防寒用 として、現在の マフラー 、 ストール のように使われた。

磯手拭 :海女のは無地の腰巻と頭被うための 磯手拭 だけであった。基本的には 晒し手拭 であり、その意味は髪形の乱れや髪が邪魔にならないようにするためだが、魔よけの意味合いもあったそうです。

生地の種類 文生地と岡生地


文生地(ぶんきじ)とは、総理生地(そうりきじ)ともいう、比較的太めの糸で編む生地。目が粗くしっかりとした質感が特徴。岡生地に比べ吸水性が高く通気性も良いので剣道やスポーツなどの利用や台所などでの利用が多く挙げられます。

 

岡生地(おかきじ)とは、比較的細めの糸で編む生地。目が細かく薄い印象、肌触りが良いのが特徴。目が細かいため染める際、細部のデザイン再現性が高いです。

 

上で説明した生地以外にも世の中には繊維生地が沢山ありサイズもいろいろあります。手ぬぐいにも比較的に安い量産品から、職人が一つ一つ丁寧に手作業で制作している物など幅広いです。製造工程や制作作業の技能面での価値、描かれている物の芸術的価値やブランドなどが製品としての価値を支えていると思います。ですが最近では職人の方が減り場合によっては技術の継承も危うくなっているそうです。企業努力であると言われればそれまでではあるものの、伝統的な技術などが無くなっていくのは少し寂しい気がします。

染色の方法


手ぬぐい は 注染 、 捺染 という方法で染められています。注染 は明治後半 に生まれた 染色技法 で何枚も重ねた生地の上から 染料 を注ぐので表裏が同じ様に染まります。機械ではなく全て職人の 手作業 で行うため1枚1枚微妙に違い、滲みや濃淡が出るので味があります、使うたびに風合いが増していき職人の一つ一つ 手作り という事もあり決して安い価格帯(他の低価格商品に比べると価格は高い、ですが職人さんの手間隙や品物の仕上がりを見たり、考えたら安いと感じます)ではないですが大変人気です。現在では 注染 の工場の数も職人の数も減り、存続が厳しいと言われている 伝統産業 の一つでもあります。これに対して、1色に対して型を1枚使い、台に生地を張り、丁寧に染料を刷り込んでいく方法が 捺染 です。柄を細い線で描いたり、柄の輪郭にこだわったり、色数も多く扱えるので複雑ながらもくっきりと再現できるところが魅力です。表裏はが出ますが、丁寧に作られたものは裏まで浸透しています。一般的に 捺染 は 注染 よりも色落ちしにくいのが特徴です。


手ぬぐいで使用する生地は特岡や特文生地を含めると、幅が大体34cm〜36cmの間の生地を使っています。ロール状に巻いてある生地です。その生地を用途に合わせた長さで切って使用します。大量生産品で端部分を織り込み縫い付けた物があります、それはそれで決して悪いことではないと思います、本来別の品物の生地幅の物を転用しているのでしょう、資源の有効活用だと思います。

例えば幅90cmの生地を半分に割いて2枚分の手ぬぐいが作れます。ですが生地を半分にさいて使うわけですから割いた側は大変解れ易くなります、その代わりに側面部分をたたみ込み、縫います。

縫われた箇所はその分、ちゃんと縫っていなければ強度は低くなります、しっかりとした縫製技術のある場所で作られたものですと安心できます。

全てがそうとは思いませんが一部の粗悪品は縫い目も粗く、ちゃんと始末もされていない物も世の中にはあります。すぐに解れが出てしまい縫い直さなければいけなくなります。製造部分でのコストダウンを図った結果、安かろう悪かろうになって粗悪品の状態で出荷されてしまったのではないかと思います。

また、畳こみ縫った箇所は厚くなり乾きが悪くなりますので、菌の繁殖が比較的し易い環境になってしまいますのでお気をつけ下さい。ただ、現在では家庭用の洗剤の改良・進歩などもあり、雑菌の繁殖を抑えたり乾燥機等を使用することで菌の増殖を妨げる事もできますので気になる方は洗剤の使用などをご検討ください。

染め方によっては適さない物もありますので必ずご確認を。

また価格が安いのである程度使い古してしまえば躊躇なく捨てることができると思います。大変便利で、気を使わなくて済み楽です。しかしそのまま捨てるのではなく、何かに再利用できないだろうかと少し考えてみて頂けると、新しい発見があるかもしれません。長く大事に使って頂くことはもちろんのこと、最後まで使い込んで役目を果たせたらそれは素晴らしいことだと思います。手ぬぐいをはじめ、昔の方が考えたいい物は沢山あります、今の時代の方が考えた物や技術を使いさらに良いものに出来るのではないかと思います。時代に合わせた使い方や使う人の工夫をし、次の世代にも残して行ければと思います。

手ぬぐい の お手入れ の仕方

初めにすること

手ぬぐい を買った・頂いた場合、初めにぬるま湯で洗う「糊落とし」を行ってください。多くの手ぬぐいは買ってすぐの状態ではまだ生地に糊が残ってる場合が多いです、理由は商品を綺麗に見せる為ですとか生地の保護が目的です。糊落としをした手ぬぐいは本来の吸水性が発揮されますので是非行ってください。

洗い方

手ぬぐい には染め方が色々有ります、染め方によっては色が落ちてくる物も有ります。(その色落ち,育つ手ぬぐいもまた楽しみの一つでも有りますが)他の生地に色移りを避けるために出来るだけ分けて洗うことをお勧めします。また洗剤などを使う場合は出来るだけ少量で固形石鹸などを少し取り、手洗いで水洗いをすることをお勧めします。

 

乾かし方

こちらも染め方に依存する部分が有りますが、基本的には生地の劣化を少なくするために風通しの良い場所で陰干しをお勧めいたします。

天日干しは生地を痛めますし、染料(生地を染めている原料)が変質し色が変わることがあります。

それも踏まえて敢えて天日干ししても構いません。

実際は使われる方の環境に合わせて自由に使って頂くのが好ましいです。

解れの処理の仕方

端が切りっぱなしの 手ぬぐい は解れが気になる方も多いかもしれません。 手ぬぐい の乾きやすく雑菌を繁殖しづらくする特性を活かす為などの理由で、切りっぱなしになっているものが有ります。

解れはそのまま放っておいても大体止まります、織り方の特性です。

どうしても気になる方は横糸を少し余裕を持って切っていただいて構いません。端から縦糸の長さが大体2〜3cm程度のところで解れは止まります。お好みに合わせて縦糸も揃えて切っていただいて大丈夫です。